花坂(めろりーな5)

今回は、和歌山の山へのツーリングです。

 

私、松田昌彦は風邪を引きません。

 

もちろん、正確には引きます。熱も出ます。
仕事に支障をきたす風邪を引かないと
いう事なのです。構えは万全です。

 

土曜、日曜の休みを使い、直してしまいます。

 

もう10年近く、仕事に穴をあけていません。

 

馬場選手や金本選手の心意気です。
私の目指すのは、プロフェッショナルな男なのです。

 

「何とか連休まで」と頑張った私でした。

 

しかし連休に入った途端、一気に熱が上がり、
倒れてしまいました。

 

五月連休のそのほとんどを使い、栄養を摂り、
寝倒し、私は連休終わりにやっと風邪から
立ち直る事が出来ました。

 

「ああ、これでまた元気に仕事に出れる…」

そう安心した頃、彼が現れました…

 

 

「まさひこー、いくぞー」

 

いくぞではありません。

 

私はまだ余裕でクスリを服用していました。
立ち上がるとフラフラして、顔も青白く、
思いっきりの病み上がりです。

 

 

「走るのは無理だよ。いくら何でも。
クスリが抜けてないんだ」

 

しかし、近所在住の単車仲間、雪絵嬢はこういいました。

 

「体を慣らすのにいいわよ。
いってきなさいよ。
こおさん、せっかくいらしてくれたんだから」

 

信じられません。

 

「なんだよ。もっと俺の体の心配を
してくれよ!俺は今、高熱をともなう
風邪からやっとの事で立ち直った
ばかりなんだぞ。 なんだよ!」

 

「まさひこー、なんでもいいから
早よ服着ろよ。いくぞー。
トリッカーの慣らし早くせなあかんねや」

 

「こおさん待たしたらあかんでしょう。
ほんま、あんた、早よしいよ」

 

 

新車の慣らしを早くしたい、わたこお氏。
掃除機を早くかけたい、雪絵嬢。

 

両名とも、僕の訴えを、全く聞いていません。

 

耳に留めていません。

 

そういうツーリングでした。

 

 

 

しかし、和歌山の山は最高の
ツーリングコースです。

 

 

風邪が完璧に治っている事に
気が付いたのは、どこかの峠での
休憩時でした。